近年、医療現場には高度な医療技術の進歩により多種多様な医療機器が導入され医療機器はその進歩と同時に複雑になっていきました。 これらの医療機器は操作及び保守点検が適切でなければ患者様の生命や安全に影響を与えることになり、安全で効果的な医療を行うことが出来ません。
そのため1987年5月、『医師の指示の下、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者』として臨床工学技士法が国家資格として制定され、高度化・複雑化した医療機器の専門家として臨床工学技士が誕生しました。
当院の臨床工学課は平成26年4月より医療技術部・臨床工学課として設置され、血液浄化療法業務、呼吸療法業務、医療機器管理業務の三大業務を主として院内での臨床技術提供を行っています。
さらに当該生命維持管理装置の操作運用と保守管理に留まらず、院内で使用される医療機器および医療施設の保守管理に積極的な関わりを持つことにより安全で質の高い医療サービスを提供する事を目標としています。
血液浄化療法とは、血液から不要な老廃物や毒素などの病因物質を除去する治療法です。
当院では慢性腎不全患者様に対する維持透析をはじめ、急性期疾患に対する患者様に行う持続緩徐式血液浄化療法も行っております。
また、劇症肝炎・自己免疫疾患に対して行う血漿交換や難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法など血液浄化と呼ばれる治療全般を行っています。
人工呼吸器は手術後の呼吸管理や呼吸不全をはじめ、重篤な肺炎などにも使用されています。
臨床工学技士は臨床で使用している人工呼吸器の使用前、使用後点検や回路交換を行っています。
また、人工呼吸器を安全に使用するために日常点検やラウンドを毎日行っています。
手術が安全に行えるように臨床工学技士は麻酔器の始業点検、生体情報モニタ、
その他の多くの医療機器や設備の準備点検等手術に欠かすことのできない、さまざまな機器の操作の補助も行っています。
また、医療機器を定期的に点検し、事前に機器トラブルを回避できるように努めています。
医療機器中央管理室では人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプなどの医療機器を集中管理しており、保守点検を実施することで、常に安全な状態で使用できる体制を整えています。
また、当院独自の医療機器管理ソフトを用い、貸し出し履歴や機器の点検修理などの情報を一元管理し問題の発生を未然に防ぎます。
医療機器をより安全に使用できるように人工呼吸器や除細動器、その他の院内医療機器に対して院内スタッフへ医療機器安全管理研修を行い、使用者への正しい取り扱いの指導など、適切かつ確実な安全管理体制を支援しています。
また、臨床工学課内でもセミナー、メーカー主催の研修会にも積極的に参加し知識向上を目指しています。
臨床工学課ではスキルアップのため学会認定資格も積極的に推進し国家資格、臨床工学技士の他にも透析技術認定士呼吸療法認定士、第2種ME技術実力検定を有しており、安心・安全な治療補助を第一に考えた医療を提供しています。